抄録
加速度計による計測で問題となる重力加速度の混入に対し,歩行中の加速度計の傾斜角度を動的に計測して重力加速度を算出し,数学的な補正で運動加速度の信頼性が向上するか検証した.健常大学生5 名の胸骨前面にジャイロ併用型加速度計を装着し,体幹側屈の大きい模擬歩行を行って体幹加速度と傾斜角度を計測し,計測値に混入した重力加速度の算出と補正を行った.またジャイロ併用型加速度計にマーカーを貼付して三次元位置座標を計測し,微分して運動加速度を求めた.補正前後の加速度と微分値の級内相関係数(ICC)から運動加速度の信頼性を検証した.その結果,補正後のICC は前後・左右方向で有意に上昇した(P <0.01).加速度計の傾斜角度に基づいて重力加速度を除去することで,運動加速度の信頼性は向上する.