抄録
高齢者の転倒が社会的問題である.高齢者の転倒に関連する因子は身体機能の立場から,下肢筋力,歩行機能,バランス機能である.本研究では,この3 要素について定量的評価ができる計測システムを開発した.下肢筋力の観点からは,足指力,膝間力という2 つの指標を開発し,転倒リスク指標として足指力を24[N],膝間力を100[N] と設定できることを示した.歩行機能とバランス機能の観点からは靴型歩行・バランス機能計測システムを開発し,日常生活中の歩行機能やバランス機能を評価できるよう構築した.さらに,姿勢制御能に関連する足底部のアーチ構造を本システムで評価できることを示し,3 要素に加えて,足底部の筋骨格系のダイナミックな変化にも着目して,高齢者の転倒に関連する因子について検討した.