2015 年 39 巻 4 号 p. 205-210
高齢者の転倒の原因として,加齢に伴う立位バランス能力の低下や障害が,大きな因子となっている.高齢者のバランス能力低下には,筋力などの運動機能の衰えだけでなく,視覚,前庭系および体性感覚機能の衰えによる影響が指摘されている.しかしながら,現状においては,運動と感覚の両機能からのバランストレーニング方法は確立していない.このような観点から,立位バランス能力の評価・治療を感覚‐運動両機能から考察することは,健康・医療において意義のある課題である.本稿では,動的な立位バランス能力における感覚機能の貢献に関する研究を紹介する.