抄録
脳性麻痺児の歩行は多様である.健常児の身体機能は発達に伴い成人のそれに近づいていくのが通常である.しかし, 脳性麻痺児では脳病変により身体機能が様々な程度に障害されるため,機能障害とその影響を受ける歩行が,発達の中で変化 する.それゆえ,脳性麻痺児の歩行を理解するためには,変化する機能障害や歩行異常,ならびにこれらに対する医療的介入 のタイミングも見据えて歩行を捉えることも必要である.本稿では,初学者でも脳性麻痺児の歩行の概要を捉えることができ るよう,脳性麻痺児の機能障害と発達との関係性,および機能障害と歩行との関係性について取り上げる.また,近年報告さ れている,脳性麻痺児でみられる多様な歩行の逸脱を数値化する方法についても紹介する.