抄録
立位から一歩前へ踏み出す際には,足の接地制御とバランス管理が重要であるが,高齢者にはこれらの同時管理が困難な場合があると指摘されている.そこで,立位ステップ動作前の姿勢が接地後のバランスを考慮しているかを検討する課題を開発し,健常高齢者17 名(74.0 ± 6.4 歳)と若齢者10 名(27.9 ± 7.4 歳)を対象に実施した.その結果,健常高齢者も若齢者と同様,バランスを考慮した姿勢調整を行うものの,調整開始が遅い傾向が確認された.これにより,健常高齢者でも接地位置とバランスの同時管理は可能だが,迅速な実行に課題があることが示唆された.