社会技術研究論文集
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研究論文
事故調査における情報の取扱いを巡って
日米の航空事故調査を素材に
服部 健吾
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2003 年 1 巻 p. 188-197

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抄録
「責任追及から逃れるために事故情報を隠す」という事故当事者の証言に対する「萎縮効果」の存在から,事故の原因追究と責任追及の間では情報を分離すべきである.一方で事故原因の特定はどちらにも必要であり,情報の共有はコストを下げる.このディレンマにいかに対処すべきかを考えるために,事故情報の流用の観点から事故調査機関と刑事・行政・民事の事故責任追及制度の関係の日米比較を行い,両国にほぼ同じ運用上の実態があることを明らかにした.しかし,日本では,制度的保障が劣ることから,不確実性が生み出す「萎縮効果」が存在しうる.その点,制度的改善が図られるべきであろう.
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© 2003 社会技術研究会
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