抄録
本研究では,国内外で問題が顕在化している外来生物リスクに関する,市民のリスク認知について社会調査を行った.早期警戒と事前対応型リスクマネジメントにむけた,社会的ガバナンスの要件を明らかにするために2つのタイプの社会調査を主に20代の若者を対象として行った.インターネットによる全国を対象とした調査結果から,外来生物リスクの影響がどのようなものなのか,知られていない場合も多いことが明らかとなった.また,三重大学における調査結果から,リスク認知の程度の違いが,通報などのリスク対応に違いをもたらす要因であることが明らかとなった.これらの結果から,科学教育や,専用のホットラインの構築などが外来生物リスクの社会的ガバナンスに必要な要件であると考察した.