抄録
1998年、Luscherは格子カイラル対称性の新しい定式化を提案した。この定式化は格子理論のDirac演算子がGinsparg-Wilson関係式を満たす場合に実現される。この定式化にもとづき、species doublerが存在せず、かつ、新しいタイプのカイラル対称性をもった格子ゲージ理論を構成することができる。一方、格子カイラルフェルミオンを定式化する方法の1つとしてdomain wall fermionが知られている。いずれの理論も格子上でカイラル対称性をもつDirac fermionを記述することから、これらの理論の間に何らかの対応関係が存在すると考えられる。われわれはdomain wall fermionの低エネルギー有効作用を求めることでこれらの対応関係を明らかにした。また、二つの理論の間でanomalyがどのように実現されているかを調べた。