素粒子論研究
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自己変調モデルによる長時間相関の導出と経済現象への応用(経済物理学-社会・経済への物理学的アプローチ,研究会報告)
高安 美佐子
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2004 年 108 巻 4 号 p. D38-D42

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抄録
自己変調モデルとは、自分の履歴の移動平均値に対して乗算型でランダムに値が変化していくような確率過程である。金融市場の取引間隔のような点過程の場合には、間隔の分布がベキ乗則に従うことやパワースペクトルが1/fに従うことが厳密に証明できる。自分の履歴にしたがって未来の振る舞いが影響を受けるため、結果として、長時間相関を持つようになり、定常過程と非定常過程のちょうど境目としての振る舞いを示すのである。市場は、直近の影響を受けやすいので、自己変調モデルがよく当てはまる典型的な例であるが、経済現象以外にもいろいろな応用が考えられている。
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© 2004 著者
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