素粒子論研究
Online ISSN : 2433-2895
Print ISSN : 0371-1838
ランダム行列模型による有限密度QCD相構造(符号問題・有限密度,学生プレゼンテーション,熱場の量子論とその応用,研究会報告)
佐野 崇藤井 宏次
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2011 年 118 巻 4 号 p. D94-D103

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抄録

アノマリーによるU(1)対称性の破れの効果を取り込んだランダム行列模型に、クォークフレーバごとに異なる化学ポテンシャルを導入し、アノマリー効果が相構造に果たす役割を調べた。アノマリー効果を取り込まない模型による先行研究では、2フレーバの場合、u,dクオーク凝縮がそれぞれ独立に相転移することが指摘されていた。一方、アノマリー項は、2つの秩序変数を混合し、2回の相転移を1回にまとめる働きをもつ。さらに3フレーバの場合には、3つのカイラル凝縮間だけではなく、カイラル凝縮とメソン凝縮の両者が混合される。このため、カイラル凝縮とメソン凝縮についての相転移にも、同時に起きる傾向がある。

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© 2011 著者
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