1953 年 5 巻 11 号 p. 1392-1401
d-p反応のstripping theoryにおいて,protonと核との相互作用をstripping effectを生ずるneutronと核との相互作用とsumeorderの近似で考えなければならない。このprotonと核との相互作用に由来するpotential termについての議論が我々の各々によつてあたえられた。しかしながら,市川・石井による取扱いでは,potential termの効果を角運動量状態にわけて調べるという角分布等を議論する場合のorthodoxな手法を用いながら,はつきりした物理的基礎づけなしにそれらの中の特定の状態のみをselectしているという不満足なものであり,stripping termとの干渉も考慮されていない。又彼等の用いた数値に不注意な誤りがあるこをがわかつたので,それを訂正し角運動量状態についてD状態までの寄与を計算し,更にstripping termとの干渉を考える。その結果potential termはstripping termとほとんど同じ角分布をあたえることがわかる。これは藤本の方法によつて得られた結論と一致する。そこで我々は更にdeuteronのwave function及びpotentialにGauβ函数を仮定してanalyticな式を求めて二つのtermの寄与を比較検討する。