測地学会誌
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日周帯以下の重力観測に及ぼす大気変動の影響
向井 厚東 敏博竹本 修三内藤 勲夫中川 一郎
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1995 年 41 巻 4 号 p. 365-378

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抄録

 潮汐周期帯における重力変化は,気圧潮汐および大気潮汐に対する混合層の熱効果の影響を受けている.われわれは,局地的,地域的および全球的な気象データに数値積分法を適用することによって,京都の重力観測に及ぼす大気変動の影響について議論し,日周帯以下の大気変動の影響の特徴を調べた.まず最初に,重力観測点から0.43。以内の気圧潮汐の影響が計算され,京都における超伝導重力計TT-70#009で得られた観測値と比較された.その結果,計算値は観測値より約50%大きな振幅を示した.次に,われわれは,京都の気象観測値を用いて近似的に表された全球的な気圧潮汐を導入することによって,計算値の観測値からの逸脱が縮小するかどうかを調べた.その結果,重力観測点から0.43゜以遠における気圧潮汐の効果は,0.43゜以内における効果の20-50%の大きさをもつことと,0.43゜以遠を含む計算結果は,それを含まない計算結果と比べて,観測結果に近づくことが明らかになった.しかし,なお,5%の差が残された.最後に,われわれは,京都における大気潮汐に対する混合層の局地的な熱効果について,詳しく検討した.この熱効果はS1において重要であり,気圧潮汐の効果の40%程度の影響を有する.それゆえ,日周期の大気変動による重力変化を推定する際には,重力観測点付近の気温の鉛直分布も無視することはできない. 結論として,全球的な気圧潮汐に加えて,大気潮汐に対する混合層の局地的な熱効果を考慮することによって,日周以下の帯域における大気変動による重力変化をほぼ説明できることが明らかになった.全球的な気圧および気温観測値が1時間間隔で利用可能になれば,より正確な推定結果を得ることができる.

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