測地学会誌
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GSFC及びIERSによる観測局速度のnnr-NUVELIAモデルからのずれとプレート境界近傍での変形
高橋 幸雄
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1999 年 45 巻 1 号 p. 9-29

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抄録

 VLBI, SLR, GPS等で観測された観測局速度のnnr-NUVELIAモデルからのずれを統計的に調べた.プレート境界から300km以内にある観測局をプレート境界にある局と考え,それらの速度のプレート運動モデルからのずれを,隣接するプレートの運動方向とそれに直交する方向に分解すると,隣接するプレートの運動方向への速度が顕著に見られる.このように,プレート境界から300km以内にある観測局の動きは,隣接プレートによって,その相対速度の10~20%程度でプレート境界が変形していることを示した.一方プレート境界から遠い局の位置変化はnnr-NUVELIAモデルとほぼ一致する.しかし,1993年と1995年のGSFCの解析結果には,太平洋プレート上にあるハワイ局,クワジェリン局,マーカス局の動きに共通した西向きのずれが見られる.これは,太平洋プレートと北米プレートの相対速度のnnr-NUVELIAモデルに対する違いを示唆するが,ハワイ局の水平位置に束縛条件を付けた1994年のGSFCの結果やITRFの速度には,こうしたずれは見られず,束縛条件などの解析方法や基準座標系によって異なる結果となる.単純に束縛条件を当てはめる事には疑問があり,太平洋プレートと北米プレートの相対運動がnnr-NUVELIAからずれていると考える方が妥当である.

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