抄録
本研究は,介護施設の介護の質と職員の働きやすさの向上を目指して,介護観と職業意識という視
点で,心理職が介入を行うアクションリサーチの報告である.研究Ⅰで職員の介護観とキャリア・コ
ミットメントを問う質問紙調査を行ったところ,職員の介護観は以下の3因子構造で,因子間相関に
より,第2因子の「利用者の安心重視」が第1因子の「利用者・自分の行動への振り返り重視」と第3
因子の「家族の意向・利用者の安全重視」双方に相関が認められた.また職業観については,1因子
構造であり,年齢に関係なく経験年数が多い群で介護に対する職業意識がより高い傾向があるという
結果を得た.続いて介入として予定されていたセルフ・キャリアドック(厚生労働省が推奨する組織
の人材育成と働き手のキャリア形成促進双方を目指す取り組み)形式のグループワークセッションが
研究環境の変化により動画配信と質問紙実施に変更となり,質問項目は介入時のテーマをそのまま用
いた(研究Ⅱ).結果として,多くの職員が認知症への理解や介護改善とその実現のためのスキルを
模索しており,職務理解に関して年齢20歳代・経験年数5年未満の層の回答が少なく,この層への
アプローチが必要であった.また職員の得意なこととして,コミュニケーションスキルが多く挙げら
れている一方,会議や発表を苦手と考えている職員もいて,個人差が大きいこと等,研究Ⅰで得た職
員像に,新たな職員像を加えることができ,介入をする場合の手がかりを得ることができた.