2023 年 64 巻 1 号 p. 42-51
本研究では,高校生の不読率の改善を企図し,実践的利用価値(学習内容がもつ職業的な実践においての有用性)に着目した知識探求の読みの授業を実践し,それが授業外の読書につながるかどうかを検討した。対象の149名の実業高校生のうち,各生徒の職業意識に関連する説明的文章を用いた実践によって,その後さらに自主的に読書した者は99名(66.4%)であった。また,その授業外読書の要因として,読書習慣に加え,実践的利用価値と授業内読書(感想)の影響が認められ,知識探求の視点で本と自己とを関連づけることが不読率改善に資する可能性が示された。