読書科学
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実践記録
読解ノートを媒介にした読みと口頭報告の統合タスクの試み
学部1年留学生を対象にして
石井 怜子菅谷 奈津恵
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2023 年 64 巻 1 号 p. 29-41

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抄録

  本研究は,読解を基に口頭報告を行う統合タスクにおいて,読解と口頭報告の達成度と問題点,及び両者の関係を明らかにすることを目的とした。対象は学部1年の留学生で,読解時に読解ノートの作成を求め,ノートの記録と口頭報告のプロトコルを分析した。その結果,読解の段階に既に問題があり,よい口頭報告を行うには重要情報を正確にノートに記録する必要があることが示された。また,生成的な読解ノートは理解の構築と外部記憶の機能を持ち,自分の言葉による報告を促すが,読解ノートから口頭報告で言語化するときに問題が生じる場合があることが明らかになった。留学生の口頭発表や作文の教育に読解教育を組み込む必要性が示唆された。

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© 2023 日本読書学会
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