日本咀嚼学会雑誌
Online ISSN : 1884-4448
Print ISSN : 0917-8090
ISSN-L : 0917-8090
グミ咀嚼が小学生の心理状態および口腔機能に与える影響に関する研究
乙丸 晶世叶谷 由佳渡辺 久日下 和代加藤 秀樹高野 正信佐藤 千史
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 13 巻 2 号 p. 67-76

詳細
抄録
咀嚼が口腔機能や身体状態を改善することはよく知られているが, 多くは動物実験であり, 人の心理状態に及ぼす影響については十分に明らかではない. そこで, 小学校5年生を層別化無作為に11名のグミ咀嚼群と10名の対照群に分け, 特別に調整したグミを夏休み中の28日間に咀嚼することが心理状態, 口腔機能にどのような影響を及ぼすかについて検討した. 心理状態については児童用内田クレペリン精神検査, 児童用顕在性不安検査を用いて検討し, 口腔機能については咬合力, 唾液量を測定した. その結果, 対照群では夏休み期間後に咬合力が有意に低下していたが, グミ咀嚼群では低下がみられず, グミ咀嚼が咬合力の低下を抑制する可能性が示唆された. またグミ咀嚼により作業効率が有意に上昇し, ものごとへの積極性も有意に増加することが明らかになった. また顕在性不安検査と唾液量には差がみられなかった. 咀嚼は子供の心理状態, 口腔機能へ好ましい効果をもたらす可能性がある.
著者関連情報
© 特定非営利活動法人日本咀嚼学会
前の記事 次の記事
feedback
Top