抄録
運動遊びの指導法は、これまでの研究において必ずしも「体系的な遊びの指導のあり方」を基軸にした方法となっておらず、「科学が未開拓」な分野となっている。科学的な指導法の確立を目指した研究もあるが、その成果が必ずしも共通の理解となっていない。本稿ではこのような問題状況を受けて、まず、遊びの指導に関する諸論と運動遊びの指導との関係を整理した。ここでは、遊びの指導に関する視点を三つ挙げ、運動遊びの指導とどのように関係しているのかを検討した。次に、既往の運動遊びの指導論に関する課題を検討した。運動遊びの技術的特質の解明に迫る研究にも、指導法の構成において課題が残る。最後に、運動技術の特質を基盤にした指導法とはどのようなものなのかという課題を検討した。ここでは、縄跳びの指導法を事例に、修正が必要な部分の動きを切り取り指導する方法(ドリル的指導など)ではない方法を検討し、動き全体を捉えながら指導していく指導法とはどのようなものなのかについて検討した。