日本咀嚼学会雑誌
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ナイジェリア人の歯学的追跡調査にみる歯科疾患発症の社会的・経済的要素
窪田 金次郎N.O. HollistA.O. Olusile米満 正美水口 俊介渡辺 久大西 正俊大澤 孝一小野 芳明S.O. Ajayi-ObeT.A.I. Grillol
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1993 年 3 巻 1 号 p. 27-35

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抄録
上述のような所見は, 先進国の現代歯学の常識では理解できないナイジェリア人の歯学的特徴といえる.これはナイジェリア人が子供の時から硬い, 繊維性の, 砂の混じった食物を頻繁に食べ, よく咀嚼していることと深い関係がある.このことが健常な歯や高齢者になっても進行した歯周疾患に対して強い抵抗性をもった健康な歯周組織の発達を促進させているのであろう.比較歯学的にみるとプラークコントロールは歯周病の予防に重要であることには異論はないが, 硬い物性の食物をよく咀嚼することによって幼年期から強い咀嚼システムの発達を促進させることが重要なことである.ナイジェリア人と日本人の歯学的比較によって, 社会的・経済的ライフスタイルが歯科疾患の発症に深く関わっていることが明白であり, 人間の一次健康科学において咀嚼システムの果たす役割の解明の必要性が痛感される.1980年から1991年にわたる10年間の調査結果から得られた全体的所見を基礎にすると, ナイジェリア人は健常な咀嚼システムをもち, それによって熱帯という厳しい劣悪な環境下での生活にもかかわらず彼らの心身の健康が維持されるのであろう.
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