2024 年 57 巻 3 号 p. 48-66
価値創造を中核に据えた「ビジネスモデル」の定義づけは,経営戦略とビジネスモデルの差異化を可能にし,混沌としたビジネスモデル研究の現状を打破するかに見えた.だが,こうしたビジネスモデル概念の下で学術と実務の生産的な関係性を構築するには,既存研究の空白地帯である事業創造実践を学術研究に取り込む必要がある.本稿は,この問題がアクション・デザイン・リサーチの援用によって解決できる可能性を示す.ビジネスモデル研究は,これにより学術におけるPDCAサイクルの全プロセスを保持でき,さらなる発展が期待できる.