2014 年 38 巻 2 号 p. 123-131
広域防災放送システムは重要な情報伝達手段であるが,地域内に配置された複数のスピーカシステムからの直接音や近隣の建物からの反射音が長い遅れ時間を持ったマルチパスエコーとなり,それによってアナウンスの明瞭性が低下しがちである。このシステムの音響設計を行う場合,屋外音響伝搬を予測し,3次元的に可聴化できるツールを用いることが望ましい。そこで筆者らは,幾何音響シミュレーションと6チャンネル再生手法を併用した可聴型シミュレーションの手法を検討している。この手法によれば,空間情報も重要な要素である広域防災放送システムの音響伝搬を解析でき,明瞭性の聴感実験に利用できる。