広域防災放送システムは重要な情報伝達手段であるが,地域内に配置された複数のスピーカシステムからの直接音や近隣の建物からの反射音が長い遅れ時間を持ったマルチパスエコーとなり,それによってアナウンスの明瞭性が低下しがちである。このシステムの音響設計を行う場合,屋外音響伝搬を予測し,3次元的に可聴化できるツールを用いることが望ましい。そこで筆者らは,幾何音響シミュレーションと6チャンネル再生手法を併用した可聴型シミュレーションの手法を検討している。この手法によれば,空間情報も重要な要素である広域防災放送システムの音響伝搬を解析でき,明瞭性の聴感実験に利用できる。
先に,ロングレール区間の絶縁継目を主な対象として継目用防音材を試作し,その経緯を報告した。この試作品は細粒径の無機質粒子の結合材を逆L字型に成型したものであるが,営業線で試験を行った結果,騒音低減効果が不十分であることがわかった。そこで,継目用防音材について一部に金属材料を適用して遮音性能を向上させることや,上面に厚さ100 mmの防音パネルを適用して吸音性能を向上させるなどの改良を行うとともに,軌道面吸音材と一般用レール防音材を併用することを検討した。以上の3種類の材料に対して営業線で効果検証試験を行った結果,目標とするレール近傍点で3 dBの騒音低減が得られた。