1997 年 21 巻 3 号 p. 179-188
新東京国際空港では, 航空機騒音の影響を制御するため, 防音堤・防音林の整備を実施してきた。今回, 離着陸する航空機の音及び模擬音源を用いた測定を行って, これらの有効性を検証する調査を実施した。騒音低減効果の評価は, 音の伝搬に影響を及ぼす条件が似通った場所を選んで設置前/設置後の測定をし算定した挿入損失により行った。その結果, 防音堤背後100mの地点でおおむね10~12dB, 300mの地点で7~9dBの挿入損失が認められ (いずれも微風時の地上滑走中の離陸機の音で最大騒音レベルで評価したもの, 受音点高さは1.5m), 騒音低減に関する有効性が確かめられた。他方, 防音林については1~2dBの挿入損失があったが, 設置前/設置後の条件での地表面の音響特性の違いにより, 有効性を明確に確認するには至らなかった。