1997 年 21 巻 6 号 p. 410-418
山口県のある離島において, サイレンと放送という集落全体に響き渡る音が, 島民たちに騒音として捉えられていないという事例について, その歴史的背景及び, 社会的背景について調査した。
サイレンは, 元来大敷に参加する人を起こすための音として鳴らし始められたが, 現在では, 人によって利用の仕方は異なるものの, 大敷の参加不参加に関わらず, 集落全体で利用されている音であることがわかった。また, 放送は, 集落全体で共有すべき情報を伝達するための手段として, 島民に受け入れられていることがわかった。どちらの音も, 集落全体で共有されている音である。
このような, 集落全体で共有される音は, 騒音としては認識されないと結論づけられる。