島根県立中央病院医学雑誌
Online ISSN : 2435-0710
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上唇に生じた明細胞癌NOSの1例
尾原 清司片山 暁恵大沼 秀行榎本 庸佑
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キーワード: 明細胞癌, NOS, 唾液腺腫瘍, 口唇
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2021 年 45 巻 p. 61-67

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抄録

【緒言】明細胞癌NOSは淡明な胞体を有する単一な腫瘍細胞の増殖よりなる低悪性度腫 瘍とされ,発生頻度は低く,その報告例は少ない.今回われわれは上唇に生じた明細胞癌NOSの 1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.【症例】患者は32歳,女性.初診の1 年以上前より上唇の腫瘤を自覚するも症状無いため放置していた.近歯科を受診した際に精査を勧 められ,紹介受診した.上唇に13×10mm大の弾性硬で境界明瞭,無痛性の粘膜下腫瘤を認めた. MRIでは境界明瞭な楕円形の内部が多房性の腫瘤を認め,T1強調画像で低信号,T2強調画像では 高信号を呈していた.【処置および経過】上唇唾液腺腫瘍の診断のもと,全身麻酔下に腫瘍摘出術を 施行した.摘出標本は淡明な胞体を持つ腫瘍細胞の充実性増殖を認め,明細胞癌NOSと診断された. 術後3年2か月を経過し,再発はない.【結語】今回われわれは,上唇に生じた明細胞癌NOSの1 例を経験したので報告した.

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