島根県立中央病院医学雑誌
Online ISSN : 2435-0710
Print ISSN : 0289-5455
原著
日本紅斑熱の重症化因子の検討
桑原 正樹楠 正勝山﨑 啓一金井 克樹樋口 大森 浩一石田 亮介北野 忠志山森 祐治
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2025 年 49 巻 p. 9-12

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抄録
日本紅斑熱は治療が遅れると重症化することが知られ,死亡する場合もある.今回我々は日本紅斑熱の重症化因子を検討した.対象は2012年から2022年までに当院で治療した18歳以上の日本紅斑熱症例45例である.ショック,意識障害,腎障害のいずれかを満たす場合を重症と定義した.年齢,性別,発症から抗菌薬開始までの日数(6日以上または5日以内),基礎疾患(糖尿病,高血圧症,脂質異常症,心房細動)の有無,治療開始時の血液検査値(Alb,AST,ALT,LDH,Cr,CK,Na,CRP,白血球数,血小板数),SOFA score,入院日数について分析した.重症群9例は非重症群36例と比較し,発症から抗菌薬開始までの日数が6日以上,糖尿病,Alb・血小板数の低値,AST・LDH・Cr・CRP・SOFA scoreの高値,長期の入院期間と関連していた.本研究の結果は,抗菌薬の遅れが日本紅斑熱の重症化と関連するという過去の知見と一致していた.また糖尿病を有することが重症化に関連する可能性として示唆された.
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