自殺予防と危機介入
Online ISSN : 2436-8369
Print ISSN : 1883-6046
シンポジウム 自殺未遂者への精神療法的アプローチ
自殺危機に対する精神科入院治療システムの構築とその必要性について
耕野 敏樹
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2019 年 39 巻 2 号 p. 67-72

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抄録

自殺対策の中で精神科入院治療をどの様に位置付けるのかということは患者の個別性に合わせて考える必要があり、一口に入院といっても多様な臨床場面を想定しておく必要が生じる。一方、臨床現場では、特にそれが精神科救急などの迅速な対応が求められる現場においては、治療スタッフが共通認識を元に足並みを揃えて治療を進めていくことが必要となる。そのため、自殺対策に関わる精神科入院治療では、当事者の方々の多様なニーズに最大限答えながら、安全に病棟生活をその後に活用していただけるような治療システム作りが欠かせないと言える。筆者が勤務する病棟ではこうした観点から、精神科医療における自殺対策の位置付けやその必要性に関する根拠も含め約5年間研鑽を重ねてきた。本稿ではその背景や具体的に行った取り組みについて報告する。

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© 2019 一般社団法人日本自殺予防学会
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