自殺予防と危機介入
Online ISSN : 2436-8369
Print ISSN : 1883-6046
シンポジウム 自殺と社会
現代における、社会と自殺のかかわりをどう見るか?—社会的な連帯や絆をその裏側から考える—
阪本 俊生
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2020 年 40 巻 1 号 p. 84-96

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抄録

デュルケムの『自殺論』は自殺研究の古典の1つとしてよく知られているが、その社会学的視角そのものが、今日の自殺研究に活用されているとは言いがたい。また個人化が進む現代では、この視角から自殺を考えることは困難なようにも見える。本論はこの課題に対して、C・ボードロとR・エスタブレの自殺社会学の研究を足がかりにしつつ、さらにE・ゴフマンの社会学の出会いとフェイス(体面)の視点を導入することで、デュルケム社会学を、現代の自殺研究に活用する新たな視角を紹介する。すなわち、連帯や人とのつながりを重視する社会関係資本論、あるいは社会的排除論や居場所論などとは異なる視角からの自殺研究の可能性を明らかにする。

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© 2020 一般社団法人日本自殺予防学会
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