社会政策
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雇用と働き方・働かせ方から見たワーキングプア(<特集>ワーキングプア-労働・生活・運動 社会政策学会第117回大会共通論題)
伍賀 一道
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2010 年 1 巻 4 号 p. 29-40

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抄録

ワーキングプアが社会問題となった背景には,低所得の非正規雇用が男性や若年層にまで拡大したこと,正社員の中にも低所得層が広がったこと(「名ばかり正社員」),当事者が雇用・労働条件の改革を求めて立ち上がったことなどがある。ワーキングプアを考える際には,所得だけでなく,雇用と働き方・働かせ方の視点から捉えること,すなわち,雇用の継続性,安全に働ける度合い,自由にできる時間の確保,抵抗の基盤をもっているかなども指標に含める必要がある。低所得の非正規雇用の拡大と並行して「過労死予備軍」とも言うべき長時間就労者が増加した。今日では「過労死予備軍と非正規雇用のセット」が雇用と働かせ方の標準的モデルとなったが,その背景には1990年代後半以降の雇用の弾力化や規制緩和政策がある。労働者の「弱者性」の側面を軽視し,労働市場法制への労働者保護法制の転換を主導した議論はこのような雇用モデルの形成を支える役割を果たした。

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