社会政策
Online ISSN : 2433-2984
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小特集2■ナショナル・ミニマム視点から見た高齢期の生活保障
公的年金を中心とした高齢期ナショナル・ミニマムの検証
畠中 亨
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2018 年 10 巻 2 号 p. 82-92

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抄録

 本稿では,公的年金を中心とした日本の高齢期の生活保障諸制度がナショナル・ミニマムに足るものであるのかを検証する。2007年の最低賃金法改正により,地域別最低賃金額は,生活保護の最低生活費を上回るよう整合性が図られることとなった。一方,高齢期のナショナル・ミニマムの機能を果たすべき公的年金の給付に関しては,いまだそのような措置はとられていない。このような観点に関する先行研究では,生活扶助基準額と基礎年金額との比較に関する分析が主として行われてきた。だが,実際の公的年金の受給は,基礎年金のみでなく報酬比例年金も受給しているケースが多く,生活保護と併給する受給者でも,報酬比例年金受給者が多数派である。また,高齢期を対象とする生活保障は,公的年金による所得保障だけでなく,医療,介護,住居の保障も考慮する必要がある。本稿では,公的年金を中心に構成される高齢期を対象とした生活保障諸政策と最低生活費とを比較し,その十全性と課題を明らかにする。

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