社会政策
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大河内一男のヴェーバー解釈と「学としての社会政策」
田中 良一
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2018 年 10 巻 2 号 p. 93-104

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抄録

 本稿は,大河内一男(1905-1984)と新カント派との関係に着目し,これと関係する大河内のヴェーバー解釈の検討を行う。ここでは大河内のヴェーバー解釈の特徴を2点指摘する。第一に,大河内は,存在と当為の二元論に立つ新カント派の影響をヴェーバーに見た上で,経験科学はいかなる当為を選択すべきかという問いに答ええないと考えたヴェーバーのWertfreiheit概念を批判した。第二に,大河内は,ヴェーバーが学の外部において価値判断を下すことを許容するにとどまらず,むしろそれを要求したと解し,ヴェーバーのこの側面を評価した。以上のヴェーバー解釈が大河内理論にいかに反映しているかを解明し,大河内の哲学的側面を考慮した大河内解釈の提示を行う。

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© 2018 社会政策学会
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