社会政策
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小規模自治体における在宅育児手当の意義
―鳥取県内6町の事例から―
安藤 加菜子
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2019 年 11 巻 2 号 p. 133-144

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抄録

 在宅育児手当は,保育所を利用せず乳幼児を在宅で育児することに対し現金を給付する政策であり,近年いくつかの自治体で導入が進む。

 そもそも親自らが子どもを育てることを支援する政策としては,育児休業や育児休業給付があるが,この支援は対象外となる親も多い。在宅育児手当にはこの限定性を補うことが期待されうるが,課題もある。その課題とは,あらゆる親の在宅育児を支援することに対する正当性の確保が難しいことと,こうした支援が母親の就労を阻害することへのリスクである。

 本論文では,在宅育児手当政策を先進的に導入した鳥取県内の6つの町の事例に注目し,同地域の在宅育児手当の意義を検討した。検討の結果,同地域の在宅育児手当は,上に挙げた2点の課題をクリアし,従来型の育児支援政策の利用限定性を補完しながら,地域で働き次世代を育てる人々を支援する政策であることが示された。

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© 2019 社会政策学会
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