2020 年 11 巻 3 号 p. 102-112
本報告は,低所得母子世帯の自立支援について検討する。そこで,生活保護世帯と非生活保護世帯の就労と子育ての状況に着目する。就労や子育てについてそれぞれの母子世帯に固有の課題があるのか,あればどんなことかを明示したい。結果,自立支援の4本柱は相互に関係し,特に就労するための基盤となる子育て・生活支援が重要になる。就労支援が機能するには,子育て負担の軽減と母親のケアが前提である。生活基盤が整備し,子育てが安定すると次のステップはキャリアアップのための資格取得支援となる。また,母と子の個別ニーズの状況により,スモールステップによって生活課題を解決していかないと,長期的な展望を持つことは難しい。世帯のニーズに寄り添うような相談機能を持った自立支援が必要だと言える。