社会政策
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特集■オリンピック・パラリンピック後をみすえた社会政策の新地平
パラリンピックは社会政策に影響をもたらし社会変化を起こせるのか
日比野(田中) 暢子
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2021 年 12 巻 3 号 p. 22-38

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抄録

 1964年東京,1998年長野に引き続き,2021年は東京でパラリンピック競技大会が開催される予定である。こうしたパラリンピック大会の開催は,我が国の障害者のスポーツの発展に多大なる影響を及ぼしてきただけではなく,社会政策の発展にも影響を及ぼしてきた。たとえば1964年大会は,それまで福祉施設にいた障害者が地域に生活拠点を移すきっかけになり,またそれを支えるものとして職業リハビリテーションとスポーツが結びつき,積極的に推進がなされた。1998年大会では,障害者のスポーツに新たに競技という言葉が認識されるようになり,そして2020年大会は,組織委員会が示す共生社会への貢献,障害者差別解消法の施行,バリアフリー法の改定,パラリンピック選手が政府審議会の委員として意思決定過程に参画するなど社会環境は変化しようとしている。本報告では,我が国で開催されたパラリンピック大会とそれが社会政策にもたらした歴史的意義を,社会背景も踏まえつつ議論したい。

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