2021 年 13 巻 2 号 p. 102-114
本稿の目的は,世帯の経済状況が子どもの食生活にどのような影響を与えているのかを,フード・インセキュリティ(Food Insecurity)という観点から明らかにすることである。分析に当たって,本稿では東京都が2016年に実施した「子供の生活実態調査」における高校生の子どもとその保護者の個票データを用いた。
本稿の分析から,世帯所得は食料を購入することができないといった経験,高校生のアルバイト就労時間を媒介して,高校生の子どもの欠食数に間接的に影響を与えること,また高校生の子どもが摂取する食品群の多さに対しては,食料を購入することができないといった経験,高校生のアルバイト就労時間に加え,母親の就労時間を介して間接的に影響を与えると同時にそれらを介さずに直接的にも影響を与えることがわかった。