社会政策
Online ISSN : 2433-2984
Print ISSN : 1883-1850
特集 2050年への社会政策:環境と社会の持続可能性を求めて
持続可能な福祉のための二つのシナリオ
――環境社会契約のフレームワーク――
イアン ゴフ上村 泰裕
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2023 年 14 巻 3 号 p. 52-63

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抄録

 遅くとも2050年までに二酸化炭素排出量をネットゼロ(正味ゼロ)にすることを公約する国が増えているのは心強いが,そのために必要となる経済・社会・生活の転換に正面から取り組んでいる国はまだない。本稿では,気候変動のみに焦点を当て,ネットゼロへの公正な移行のための二つのシナリオを検討し,現代の「福祉国家」に対するその影響について論じる。第一は,「社会的保証」と組み合わされた「グリーンニューディール」の枠組である。この戦略は,必需品やサービスの公的供給を拡大することが不可欠だと主張する。第二のシナリオはさらに進んで,所得・資産・消費に上限を設けた必要充足経済を構築することで,暴走する私的消費に対抗しようとするものである。そのためには,国家能力と福祉国家介入をさらに拡大することが必要である。本稿は,これら二つの非常に異なるアプローチを比較し発展させるための枠組を提供するものである。

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