技術革新が将来の雇用をどう変えるのかについてはこれまで様々な予測が立てられてきた。その予測値には論者によって幅があるが,新技術が既存の雇用をある程度代替すること,そのため教育・訓練と再分配や所得保障の拡充等の社会的投資政策が必要であるという点は共通している。しかし実際にはその対応は不十分だった。それは政治が予測を顧みなかったというより,未来予測自体にその時点の政治的選好や社会の想像力が混入していたためである。
本稿では,1980年代から2019年までの間に出されてきた,技術革新と雇用の関係を巡る未来予測に関する新聞記事や政策文書を内容分析を用いて検討し,そこに各時点における社会の観察や政治的意志がどのように介在していたのか検討する。それを通して,雇用に関する未来予測が社会保障の拡充へと接続しない言説の形式を複数見出し,2050年の社会政策を考える上で考慮すべき論点を提示する。