社会政策
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Print ISSN : 1883-1850
特集 コロナ禍の労働と社会政策:労働者の生活を支える政策とは
非正規シングル女性の労働と生活
――コロナ禍時点の調査結果の検討を中心に――
服部 良子
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2023 年 15 巻 1 号 p. 25-46

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抄録

 就職氷河期世代の就労支援は2018年以降,政策課題となっている。1990年代半ば以降,失業対策として非正規職の労働市場拡大がすすめられ,若年層の非正規職が拡大した。特に就職氷河期世代では,非正規雇用での停滞と増加が顕著であり貧困に陥りつつある。1980年代,非正規雇用の中心は既婚中高年女性のパートタイマーであったが,2000年代には未婚女性が増加した。2020年度『非正規で働くシングル女性の実態調査』は,非正規シングル女性の半数が年収200万円未満であることを明らかにした。彼女たちはその収入で自分自身と親などの同居者の生計を維持し,高齢期には低年金と就労継続も予想されるが,正社員の労働条件や技能形成の不安を理由に非正規職にとどまることが少なくない。このような女性の働き方は,社会政策に対して,非正規シングル女性の安定した仕事と将来を展望できる生活を形成するのを助けるために何ができるか,という新たな課題を突きつけている。

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