2023 年 15 巻 2 号 p. 33-44
本研究の目的は、障害年金などの所得保障制度が障害者の就労や家計に与える影響について、厚生労働省「生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」の個票データに基づき、実証分析を行うことである。分析結果からは、主に以下の二点が確認された。第一に、20歳~64歳の男女について、未就労率は高く、就労していても就労収入の平均月額は低い水準にとどまっている。また、障害年金をはじめとする所得保障の受給額と一般就労に就く確率には負の相関があった。第二に、単身世帯の20歳以上の男女の消費貧困割合は約34.1%~45.9%と高い水準にある。さらに、所得保障の受給額と消費貧困に陥る確率の間には負の相関がみられた。したがって、年金は障害を持つ人々の経済厚生を一定程度下支えする効果は持つ可能性があるものの、それでもなお貧困率が高いことに鑑みれば、所得保障の十分性としては弱いことが示唆される。