2023 年 15 巻 2 号 p. 21-32
本研究では、厚生労働省「遺族年金受給者実態調査」(2015年)の個票データを用い、死亡者との続柄が「妻」である65歳未満の遺族年金受給者の就業状況に関する集計および回帰分析を行った。
集計結果からは、50歳代前半までの遺族年金受給者の就業率が女性全体に比べて高いことなどが分かった。回帰分析からは、子がいない場合や同居の親がいる場合に正規雇用で働く確率が高いこと、また子の人数が多いほど非正規雇用で働く確率が高いことが分かった。遺族厚生年金額が高いほど就業確率が低いことも観察された。
以上から、子のいる遺族年金受給者に対しては、子育て負担の軽減策に加え、子の加算の増額も検討すべきではないかと考えられる。一方、子のいない遺族年金受給者については、2015年の社会保障審議会年金部会で提起された有期給付の対象年齢の拡大は検討に値する。ただし、具体的な検討にあたっては、さらなるエビデンスの蓄積が求められる。