2024 年 16 巻 1 号 p. 264-275
本稿は、1950年代の医療扶助入院精神障害者処遇と緊急救護施設創設をめぐる厚生省社会局の議論と動向を分析し、同時期の社会局による生活保護法と精神障害者処遇をめぐる政策形成過程を検討した。その結果、1958年の緊急救護施設の創設は、医療扶助入院精神障害者の動向を常に注視していた社会局が1950年代初頭から一貫して模索していた一連の医療扶助精神障害者の処遇政策のもとに位置づくことが明らかになった。また、緊急救護施設は社会局によって、その創設時点において精神病院退院者のアフター・ケアの役割を担う施設として位置づけられていたことも示された。1950年代の社会局は、生活保護法が精神障害者の医療を過重に負担している状況から脱することを企図し、医療を要する精神障害者のための措置入院拡大と医療を要さない「慢性固定」精神障害者のための保護施設創設というベクトルの異なる2つの施策を展開していたと考えられる。