社会政策
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セクシュアルハラスメントの構造的側面の分析
――「第三者」を含む権力関係に着目して――
林 美子
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2024 年 16 巻 1 号 p. 276-288

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抄録

 セクシュアルハラスメントという社会課題が日本で可視化されてから30年以上たつが、いまだに被害は後を絶たない。被害が起きた職場における権力構造の観点から被害者の「語り」を分析すると、各企業の女性登用の遅れや性的役割分業、加害者の被害者に対する「優越的地位」だけでは説明しきれない要因がある。それは、上司や同僚など当事者を取り巻く「第三者」の存在であり、加害行為を放置し、容認するような職場の「雰囲気」である。もともと職場にある何らかの「雰囲気」が加害行為を可能にし、被害者の救済を阻んでいる。この「雰囲気」の背景には日本企業に特徴的な「一体感をもった共同体」がある。共同体の内部は「性による二重構造」となっており、服務規範にも性によって二重構造となっている。それゆえ、この問題の解決のためには「性による二重構造」を解体し、新たな服務規範と統制の原理の創出に企業や職場ぐるみで取り組む必要がある。

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