社会政策
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社会的合意アプローチによる日本の子どもの必需品
阿部 彩
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2025 年 16 巻 4 号 p. 321-333

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抄録

 物質的剥奪指標は、海外において多数の研究が蓄積されており、欧州連合においては公的貧困指標として採択されている。しかし、日本における子どもの貧困指標の議論の中では検討が先送りされており、2023年末に閣議決定された「こども大綱」に記載された指標群も、剥奪指標については触れていない。

 本稿は、物質的剥奪指標を構築する項目の選定手法の最新動向をレビューし、項目の妥当性を検討する4つのテストのうち、「低い生活水準を表す適切さ」を検証する‘Suitability’テストを社会的合意アプローチを用いて行った。データは2022年に一般市民2000人を対象とした行ったインターネット調査である。その結果、20項目の子どものいる世帯の必需品、15項目の子どもの必需品が本アプローチの2つのクライテリアを満たしていた。また、人々の必需品についての意識は属性別に見ても高い相関があることがわかった。

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