本論文の目的は日本の教育の政府支出について、異なる費用負担の下での支持の構造を把握することである。そのことによって、財政的なトレードオフがある中で人々が考える政策の優先順位を明らかにする。分析においては財政制約条件を回答者にランダムに提示した上で、教育政策の拡充について支持するかどうかを尋ねる。分析の結果、財政制約を提示した場合には、負担の種類を問わず教育支出の増加が支持されづらく、異なる負担の種類の中では公的債務の増加は増税と他の政策領域における支出削減にくらべて忌避されづらいことが明らかになった。また、費用負担の問題を明示した場合に、人々の属性による支持傾向の違いがより顕在化しやすい。これらの分析結果は、財政的な制約を無視した調査分析を行うことは真の選好を過大評価する可能性や、政策のフィードバック効果によって特定の政策や財源調達が好まれる傾向を示唆している。