2026 年 17 巻 3 号 p. 24-38
本稿では、小売業における聞き取り調査を通じ、この10年間での非正規雇用の賃金制度の変化を法政策の動向とあわせて明らかにし、正規・非正規雇用間の処遇格差が解消に向かっているのかを検討する。公的統計によれば、正規と非正規雇用の賃金格差は縮小傾向にあり、とりわけ賃金水準の低い層において底上げが進んでいる。加えて、この10年間に非正規雇用に関する政策が大きく進展したことも、格差縮小に寄与していると考えられる。
聞き取り調査の結果、同一労働同一賃金に基づく法政策の変化を背景に、賃金格差是正のため正規と非正規雇用を「ブリッジ」する新たな雇用形態が導入され、両者の間に連続性が生まれていた。一方で、正社員登用は地域を跨ぐ転勤を伴うため希望者は限定的であり、また女性が地域限定の働き方を選択する限り、上位職への登用が進みにくく、結果として女性比率が低くなることが確認された。