社会政策
Online ISSN : 2433-2984
Print ISSN : 1883-1850
小特集 貧困対策における「責任」に関する分野横断的研究:歴史・制度・規範・社会意識の観点から
貧困と責任に関する社会意識調査の実証的分析
――原因責任と対処責任の区別に着目して――
数実 浩佑北野 廣平池田 大輝宮本 雅也阿部 崇史
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2026 年 17 巻 3 号 p. 91-102

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抄録

 本稿は、貧困問題における「自己責任論批判」の有効性を検証することを目的に、貧困と責任に関する社会意識調査(Web調査)を行った。その際、責任概念を〈原因帰属としての責任〉と〈問題対処の引き受けとしての責任〉に区分し、両者の関係を分析した。前者の責任意識は、因子分析により個人原因意識と社会原因意識の2つを指標とした。また後者の責任意識は、貧困対策への賛否を尋ねる質問によって指標化し、社会対処意識と名づけた。その際、調査対象者の半数に対して、貧困対策の導入にともなう税負担を意識させる実験的操作を行った。分析の結果、第1に、個人原因意識は社会対処意識に負の影響を、社会原因意識は正の影響を与えることが確認された。第2に、税負担が強調されると、社会原因意識が社会対処意識に与える影響は消失することが明らかとなった。以上の知見に基づき、「自己責任論批判」の戦略の有効性は、条件付きであることを指摘した。

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