2026 年 17 巻 4 号 p. 130-143
中国では高齢化の進行に対応して、2016年より介護保険パイロット事業が開始され、現在では29地域へと拡大している。本稿は、制度施行、介護保険業務の遂行、サービスの質評価の3つの面から29地域の介護サービスの質管理システムの運用体制と民間委託の特徴を分析した。介護保険業務が民間保険会社に委託され、介護サービスの質評価がサービス事業者に委ねられているなか、介護サービスの質を評価するための具体的な基準および実施枠組みが整備されていない。こうした状況を踏まえ、本稿では代表事例として「蘇州市モデル」の介護保険制度を構築・施行している蘇州市を取り上げ、介護サービスの質をめぐる課題とその解決策を検討した。その結果から、介護サービスの質を確保するためには、制度施行主体による介護サービスの評価基準の明文化に加え、中立的立場にある第三者機関による評価体制の構築と運用が必要であるという2つのインプリケーションを得た。