社会政策学会151回(2025年度秋季)大会の共通論題では、「介護保険制度25年の検証と評価」と題し、制度の変遷、介護保険財政、障害福祉制度や他国の介護制度との比較といった論点に基づく4名の報告と総括討論がなされた。本稿は当日の議論を踏まえ、介護保険制度の課題と残された論点を整理するものである。介護の担い手の充足は介護保険制度積年の課題である。しかし、介護労働者の賃金水準は依然として低く、政府の進める外国人人材の受け入れも彼らやその家族が将来的に利用者となることを十分に想定していない点で、危うさが残る。また制度の持続可能性を担保するために行われた諸改革や政策イノベーションは、制度の肥大化、複雑化、作動原理の異なるシステムの併存という新たな課題を生み出した。今後は、低所得高齢者の介護保障の在り方や、介護保障の国際比較、他の公的制度や社会的環境要因が政策評価に与える影響についての更なる検討が必要である。