社会政策
Online ISSN : 2433-2984
Print ISSN : 1883-1850
小特集 障害者の就業・生活支援政策の実態と課題
障害者の貧困と障害年金のあり方に関する再検討
――障害者権利条約関連文書を通して――
磯野 博
著者情報
ジャーナル フリー

2026 年 18 巻 1 号 p. 82-92

詳細
抄録

 障害者権利条約(以下、条約)は、障害者政策の国際標準ともいえるものである。条約の特徴には、自由権と社会権を保障する「人権の包括モデル」を採用したことや、合理的配慮の前提には積極的差別是正措置があることなどが挙げられる。これらの特徴を象徴するのが第28条である。第28条は、「ニーズに応じた適当なサービスを利用すること」、「障害に関連する費用への援助を利用すること」などを明記しているが、障害者権利委員会が、2022年9月に採択した「日本の第1回政府報告に関する総括所見」(以下、総括所見)は、以下のことを明記している。それは、「障害者と家族が十分な生活水準を確保できる社会的保障制度が不十分であること」と、「障害年金は国民の平均所得と比較して著しく低いこと」である。これらは、日本の障害者が相対的貧困状態にあることを厳しく指摘し、障害年金など、障害者の所得保障を抜本的に改善することを勧告している。

 そこで本稿では、総括所見を障害年金の分野からも完全実施すべく、条約関連文書などを通して、皆年金体制の下での障害年金のあり方を再検討する。

著者関連情報
© 社会政策学会
前の記事 次の記事
feedback
Top