社会政策
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過労死・過労自殺の現状分析と政策的対応(<特集>健康のための社会政策)
川人 博
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2012 年 4 巻 2 号 p. 19-27

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抄録

過労死とは,仕事による過労・ストレスが原因で死亡,と定義し,過労自殺とは,仕事による過労・ストレスが原因で自殺と定義する。1988年の「過労死110番」発足以降,脳・心臓疾患の労災認定は徐々に増加し,2001年認定基準改正後は,年間300件前後となっている。精神疾患・自殺の労災認定は,1980年代・90年代は皆無に近かったのが,最近は,年間200〜300件(自殺は60〜80件)となっている。うつ病等精神疾患の主要な原因は,長時間労働・深夜労働等による睡眠不足,暴力・暴言等のハラスメントであり,多くの事例は,両者が併存している。最近では,若年労働者や女性労働者のうつ病の相談事例が増加している。過労自殺をなくすためには,法的規制の強化や学校教育の改革が必要である。また,メンタルヘルス強化・自殺予防のためには,精神疾患発症後の対策ではなく,発症阻止のための専門家等の介入が必要である。

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© 2012 社会政策学会
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